イブ・ラカ(グスティ・アユ・ラカ・ラスミ女史=Gusti Ayu Raka Rasmi)は、オレッグ・タムリリンガン舞踊のマエストロである。
故イ・クトゥット・マリオによって、男女で踊るオレッグ・タムリリンガン舞踊が作られた時に、
最初の女性の踊り手として選ばれたのが彼女だ。
1939年3月10日にプリアタン村で生まれたイブ・ラカさんは今年73歳になられる。
その73歳のお誕生日に、お祝いと感謝の気持ちを込めて娘のイブ・グンティさん(A.A. Istri Wirati)からプレゼントが贈られた。
それは「イブ・ラカのスピリット(Spirit of Ibu Raka)と称された、オレッグ舞踊の祭典の開催だった。
このプレゼントは、イブ・ラカさんの指導によるオレッグ舞踊のワークショップにはじまり、
3世代の踊り手による、オレッグ舞踊の公演で終わるという
すべてがプリアタン・スタイルのオレッグ舞踊のみでなりたったイベントであった。
このイベントは、2012年3月11日
イブ・ラカさんの誕生日翌日にプリアタン村のプリアグン王宮アンチャック・サジを借りて行われた。
イブ・ラカさんの指導によるワークショップは、小学生のグループから大人、外国人に至るまで、複数回行われた。
夜には愛弟子達による集団のオレッグ舞踊、という、賑やかな公演が続いた。
このイベントには、いくつかのサンガル(バリ舞踊教室)が招待状を受けた。
プリアタン村のみでなく、遠くはタバナンやデンパサールからも、踊り子達が集まって来た。
mayumi inouye ( m ) のサンガル「スリ・パドマ」も招待状を受けたので、選抜した上級生3名を連れて、ワークショップに参加した。
どの生徒も、マエストロからの直接の手ほどきを受けられるというので、喜んで、数日前から
「オレッグ教えて!!」(mは、まだ生徒にオレッグ舞踊は教えてはいなかった)と通ってきた。
mも、ワークショップについて行けるようにと、一生懸命、触りの部分を覚えさせていた。
ワークショップ本番では、大勢の見知らぬ踊り子が一緒なのに緊張したようで、最初は表情も堅かったが、時間が経つにつれて子供達は、イブ・ラカさんの持つ動きを見出したようで、プリアタン・スタイル独特の構えを、見様見真似で踊っていた。
夜の公演で愛弟子の踊る姿、そこには、イブ・ラカさんのスピリットがしっかりと次の世代に引き継がれているのが伝わってきた。
この夜の公演では、1952年にイブ・ラカさんが初めてオレッグ舞踊を踊ったヨーロッパとアメリカ公演の際に
演奏を行った由緒あるプリアタン村の楽団「グヌン・サリ楽団」が演奏を行った。
こういう機会を作ってくれた娘のグン・ティさん、また、快く自分の舞踊のスピリットを伝授してくれたイブ・ラカ女史に、感謝の意を述べたい。
Terima kasih Ibu Raka!