今夜は、お・と・ま・り❤

makmit

お寺に泊まり込むことを「マクミット」と言います。

長期滞在してても気付くことは殆ど無いですが、寺院って、夜には10人位の人が警備を兼ねて泊まっているものなのです。バリ島の共同体制度バンジャールの、更に下に組まれる小グループが、順繰りに各家庭から一人をお寺に送る当番制で、たいていは御父さん、それが無理なら息子やお爺さんの出番です。寝ずの番ではなく、寺で普通に寝るだけです。

そんな「マクミット」。おっさん達の仕事かと思ってましたが、なんと ちび太 もマクミットをする事になりました。

おっさんだから?

あるオダランにお誘い頂いた時のこと、行き先は「バンリ」という話でした。バンリは隣の県でバイクで20分で行けますが、不思議なことに「片道3時間はみとけ」でした。バンリと行っても、端っこの県境らしいです。

さらに「このお寺で奉納(ンガヤ)した者は、必ずマクミットして帰らないといけない事になっているから、泊まる用意して来て」

昔、奉納が終わって、お寺に泊まらずに帰途についた楽団の車が、帰路の山中で突然ストップ。ウンともスンとも言わなくなり、朝日が昇ったら、何事もなかったようにエンジンがかかったという事件があったとか。神様が怒って、きちんと泊まる様に朝まで車を止めたのだという話になり、それ以来、信者は、怖くて泊まっていくそう。

布団は無いから、上着を持ってくるよう言われました。遠い所に行って泊まるなんて、ちょっとした遠足気分です。そして初マクミット体験!

厚紙lamak
御向かいの、ここより低い山が、雲の中ですがな・・・標高600mの峰々

奉納の当日、演奏者は楽器とともに大型トラックの荷台に積まれ、ウブドを出発。私もそちらに乗りたく最後までゴネましたが「トラックは可哀そう~」と、踊り子号(中型バン)に押しやられました。バンの中は踊り子と衣装でギュウギュウ詰めです。そして、山道なので曲がりくねりのカーブが連続、車酔いが続出!カワイイ踊り子ちゃん達がビニール袋にゲーと吐いておられます。想像通りです。だから、トラックの方が良かったんだけど・・・踊り子の待遇は特別らしいです。ありがたいんだか、どうなんだか。

登り道にカーブの連続、そのカーブも45度?と思うような極端なカーブが数か所あり、途中、タイヤが熱くなりすぎて、持参の飲料水やポカリスエットで慌ててタイヤを冷やして膨張パンクしないようにしたり、到着までは結局4時間かかりました。長かった~。

到着したのは上記写真のような山の上。尾根っていうんですかね?とにかく、周囲に山しか無い所。でも、寺院が建っているんですよ。周囲の民家は、木材とトタン屋根で建っています。レンガの壁や石の壁は、重たくて運送費が高くつくから、使ってるのは金持ちの家だそうです。そして、昼と夜の寒暖の差が激しいんで、瓦は割れる事があるから、どの家もトタン屋根にしてるそう。

え? 今、なんて言いました? 寒暖の差が激しくて瓦が割れる?

そうなんザンス、この後、大変だったんです。

自分の出番は終了、化粧を落としてクバヤ(寺院の正装)に着替えた後、寺にあるバレ(東屋)で寝るよう指示されました。踊って汗をかいてるんで、まだポカポカです。何も気にせず、寺院側が楽団の為に、村の各家庭から集めてまわったらしい枕の、なるべくキレイそうなのを奪い取って(俺、やなやつ)空いている床を陣取り、まだ目の前で奉納されている他のグループの御笑い劇「プレンボン」を観てました。終了したのは深夜1時頃。明朝は6時起きで、御祈りを済ませたらウブドへ帰るという話だったので、とっとと寝ることにしました。

厚紙lamak
後方に見える、こんな開放的な建物でザコ寝でございます。
手前のゴザでは地元青年団が「寝ずの番」。

マクミットは、雑魚寝です。その辺の床で、竹や板を枕にして寝るという事は前もって聞いていました。なので、どこでも同じだろうと思い、踊りを観るのに最適の場所を取ったつもりですが、それが悲劇でした。壁のある所をとるべきだったんです。

寝られない! 寒くて寝られない!

夜が更けるにつれ、風がピューピュー吹き始め、温度もドンドン下がってくるんですが、その下がり方が尋常じゃない。寒いと言っても日本の秋くらい?と舐めてかかり、薄手の上着しか持ってきてなかった私は、ガクガクブルブル状態。もちろん、息が白いんです。寒さに弱い私にコレは、つらい!

何で熱帯育ちのバリ人が平気で、四季を知ってる私に耐えられないのか最後まで不可解でしたが、みんな寒い寒いと言いながらも結構いびきをかいて寝てます。

横が小学生だったんで、「子供=体温が高い」と思って、ソ~ッ!と犯罪者のように近寄って、くっついて寝ようと試みましたが、低体温の子なのか、あまり助けにはなってくれません。

寒すぎて、とうとう化粧道具やら何やら入ったカバンを空にして、足に履きました。みっともないですが、これで朝までグッスリと安眠できました。朝起きた楽団の人達、カバンに両足を突っ込む私を見て、笑ったことでしょう。

ていうか、グッスリ寝すぎて、目が覚めたら3人しかそこらに寝てなくて、一瞬、置いて行かれたかと思いました。6時に携帯電話のアラームをセットして起きたんだけど・・・バリ人、朝、早すぎ!みんな、5時から川にマンディ(水浴 +んこ)しに行ってたらしいです。おいおい、水が冷たかろうよ。

そんな、こんなで、初めてのお寺泊まり体験終了!