福岡にバリ舞踊を【2】 留学生達の交流

福岡・糸島のバリ舞踊・仲哀天皇伝説のある糸島市の宇美八幡宮、そして古墳群でバリ舞踊公演を行うのが我々夫婦の長年の夢でした。創作バリ舞踊Under The Tree三部作を、この樹の下で踊りたい。福岡出身(糸島市)で、プロとしてバリ島でバリ舞踊家となり、舞踊団を作っている井上真由美と、同じく楽団を設立したバリ・ガムラン演奏家の夫カデ・フェリが綴る「九州にバリ舞踊のイベントを興す」経緯のテキスト

仲哀天皇伝説のある糸島市の宇美八幡宮

福岡県内の鎮守の森にそびえる

イチイガシの巨木

この神社では数年前に

御鎮座1800年祭が行われた

つまり千年以上も神事を見続けてきた

老樹なのである

この樹には凱旋貝と呼ばれる陸貝が住んでいる

戦時中は出征される方がこの貝をお守りにした と教えられた

子供の頃は 祭で神様を迎えるために

 灯篭を作って参道の石段に燈し

夏休みには先生も巻き込んで キモダメシをやった

大きくなっても 

落ち葉の掃除や 銀杏拾いに通った

とても思い入れのある場所

カデ氏もやはりこの神社に惹かれ

 日本滞在中は何度も石段を昇った

この神社でバリ芸能を奉納するのが 私達の夢

インドネシア人留学生の交流

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区長さんと公民館長さんに続き、今度は小学校の校長先生も立ち上がってくださった。

折りしも糸島市で、市民団体と九州大学の留学生が交流する「ウエルカムワールド事業」という活動が開始され、
国際交流とは無縁かと思っていた僻地のような我が校区が、受け入れ先に立候補!
そして選択国として、なんとインドネシアを選んでくれたのである。

本当に、驚いた。

事業の継続期間は3年間。
記念植樹にはじまり、体育祭・文化祭といった地域のイベントには必ず留学生が顔を覗かせ、
寺院や神社の祭事「寒禊祭」「秋季大祭」といった祭事を見学しに来るようにもなった。
頻繁にインドネシア人が長糸を訪れるようになったお陰で、子供を介して親も少しずつインドネシアという国を知ってくれるようになりはじめた。

福岡県糸島市長糸の夏まつりでアンクルン楽器を演奏するインドネシア人留学生

地元の夏まつりで
アンクルン楽器を演奏する留学生
資料:IT長糸の風サークル

学業の合間に校区を訪れ、交流を図ってくれている留学生に対して、私達は遠いバリ島に居るため、年に一回の活動に制限される。

後々は、芸能に関してカデ氏に信頼をよせてくれる留学生からメールが届くようになり、
イベントのアイディアやバリ島の情報提供など、裏での協力が随分と出来るようになったが、
初期の頃は、ただ留学生達から送られる写真を見て、
「ああ、寒いの苦手なのにマラソン大会まで参加して・・・本当にご苦労様。ありがとう!」と呟くしかなかった。

しかし、我々が留学生をお手伝いをするチャンスが巡って来た。

留学生主宰のチャリティ・イベントである。カデ氏がケチャを指導し、私も踊りで参加をし、少しではあるがイベントを賑やかにするお手伝いが出来たのだ。

九州大学で留学生にケチャを指導するカデ氏

九州大学で留学生にケチャを指導するカデ氏

九州福岡市のバリ舞踊公演、ケチャの上演(シータとラワナ)

ケチャ隊、踊り手、
全て福岡在住のインドネシア人
写真:國治晃

借りを返した気持ちになって、少しホッとした。

翌年は、このイベントに、長糸小学校の児童がドラナン・ダンスを持参。
児童らは、インドネシアに興味を持ってくれ、サマン・ダンスまで自主練習して踊れるようになった。
なんと素晴らしい!!

福岡でバリ舞踊レゴン・チョンドンを踊る。インドネシア・カルチャー・デイ@福岡市民センター

私もレゴン・チョンドン舞踊で
留学生のイベントに参加
写真:國治晃

福岡県糸島市長糸小学校の児童が、インドネシア留学生のイベントに参加してバリ舞踊を公演

留学生のイベントでの
長糸小学校児童の発表
資料:IT長糸の風サークル

時が絶つのは早いもので、
これを書いている現在では、
その子達も既に高校生である。

そんなに長いこと関わってきたんだなぁ。と、自分達でも驚く。