タウール・アグン・クサンガの儀式(1934年ニュピ)

サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式
サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式

タウール・アグン・クサンガ(Tawur Agung Kesanga)は、地上を清めるという意味を持ったとても神聖な儀式で、バリ島で使っている宗教カレンダー「サカ暦」の、クサンガ月の新月「ティレム・クサンガ(Tilem Kesanga)」にあたる日に行われます。
静寂の日として有名な、バリ島の新年ニュピの前日です。

村々の大きな辻(たいていは王宮がある四辻で、大通りの交差点の場合もある)に、盛大なお供え物をして、大勢で清めの儀式をします。

この儀式が終わると、プングルプカン(Pengrupukan)という、
住居周辺や、バンジャール、村といった、自分達が日常関わっている生活の場を清める小さな儀式へと続きます。
ニュピの時期にバリ島を訪れた事のある方は、夕方頃に、鍋の蓋や、ドラム缶など、
とにかく大きな音が出る金属類を子供達がガンガン叩いて、家の中をグルグル廻る光景を目にしたことがあるかもしれません。
これは、ブタ・カラ(Bhuta Kala)と呼ばれる悪さをする悪魔たちを脅かして、家の隅々から追い出す目的で行われます。

こうやって、悪魔を追い出して清められて迎えるのが新年のニュピの日。
静寂と平穏の日です。

サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式
サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式

プリアタン村のタウール・アグン・クサンガは、王宮脇のアグン・デサ(Agung Desa)
バリ語で、チャトゥス・パタ(Catus Pata)と呼ばれる交差点で行われます。
四方向から風が集まって来る四辻の交差点です。

サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式
サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式

今年、サカ暦新年1934年(Nyepi Tahun Baru Çaka 1934)のニュピを迎えるためのタウール・アグン・クサンガの神聖な儀式は
西暦で2012年の3月22日。 プリアタン村では、ここバンジャール・カラーが担当になりました。
数日前から、お供え物などの準備がバンジャール・カラーの人々によって進められ、当日は朝からアグン・デサ周辺で儀式を行い、
kadek ferry ( f ) も、儀式内での演奏という役目を無事に終える事ができました。

サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式
Br.カラー地区グルニタ・サリ楽団

タウール・アグン・クサンガ儀式で清められた王宮脇には、巨大な人形が集まってきます。
悪魔ブタ・カラの姿に似せた巨大な張りぼての人形を台にのせて、ニュピ前日の夜に練り歩く「オゴオゴ(Ogoh-Ogoh)」行列の準備です。
このオゴオゴでも、四辻のチャトゥス・パタが使われます。
サンディカラ(sandikala)と呼ばれる夕方の時間帯、ちょうど日本でも逢魔時(おうまがとき)と呼ばれるような薄暮になると、このオゴオゴが担がれ始め、自分達の村のエリアにある大通りを練り歩くのです。
オゴオゴの後も、夜遅くまで爆竹などが鳴らされ、賑やかです。

サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式
サカ暦1934年の新年「ニュピ」を迎えるタウール・アグン・クサンガの儀式

こうやって、大騒ぎをした翌日が、静寂の日のニュピ。
バリ・ヒンドゥ教で「チャトゥール・ブラタ・プニュピアン(Catur Brata Penyepian)」と呼ばれる、四つの禁則事項を守って、静かに新年の一日を過ごします。

サカ暦1934年ニュピ、新年おめでとうございます!
Selamat Hari Raya Nyepi Tahun Baru Caka 1934!