ポツリポツリとではあるが、私( m )にもメイクの仕事が廻って来ることがある。
大きな公演では、専門の化粧師=トゥカン・パヤスを雇うが、村の祭りだとか、県のイベントになると、予算も無いので、素人さんでもいいから、猫の手が何本か必要になるのだ。
大人はだいたい自分で化粧できる。または、美しさを競うために、自腹を切って美容院へ行く。
だから、私にふられるのは主に「子供」のメイク。
それも、20人~30人単位のお子達の化粧が必要な時である。
この時は早朝5時から、化粧のみでなくヘアメイクも着付けも3人の化粧師で手分け
丁寧もクソもなく、もう流れ作業
左の子は目がパッチリで楽だが、右は日本人系あっさり顔、二人の雰囲気を揃えるのに苦労
上の写真の子供たちは、舞台に立っている本物の「踊り子」さんなので、割と化粧され慣れており、ままスムーズに作業が進むのだが、村の祭りで一般の子供が踊るルジャン舞踊などの時は、化粧が初めてという子も多く、
アイライナーが乾くまでは目を閉じてろ、と指示しても開けてしまう
アイシャドウの筆がくすぐったいのか、まばたきを頻繁にする
眉毛を描いてる途中で、いきなり動きやがる・・・あ、いえ、いきなり動きらっしゃりやがる
そして、子供の唇って柔らかくて、紅筆使うと、肉が逃げるんだなぁ・・・なかなか上手に口紅がひけないのだ。
とにかく時間がかかって仕方ない。
大量のお子が列を作るので、早く進めたいがちょっとパニくってしまいそうになる事も。
その、素人の少女が踊るルジャン舞踊 「青+ピンク+黄色」の極彩色バリ舞踊メイクと違って、「オレンジ+茶色」系統の落ち着いたトーンの色を使う。
以下、ちょっと使用前/使用後の例を。
「この日本人に任せて大丈夫なの?」て不安が思いっきり顔に出てる子
その不安と、私を至近距離で見る恐怖の為か動けずにジッと固まってたので、案外ササッと終了
素顔も大人っぽい雰囲気の小学生。クラスに一人はいたなぁ。
このまま育てば、将来は超美人
(人形のように可愛いバリの子、成人過ぎると違う方に突然変異する率が高いので断言はいたしませんが)
30人分の衣装調達は難しいので、正装のクバヤ姿で踊る事になった、ある村のルジャン
でもそれが本来の「祈りを捧げる」姿にふさわしいと思うので、個人的に好きだ。パチリ
時間あれば4色くらいで彫りの深いタイプの目元を丁寧に作るのだが、1時間半で28人の子供を化粧師2人っきりで!というヒーヒー状態だったので「塗る」だけで勘弁願ったが、そこそこ化けてますね。
小学生を妙に色っぽい顔に仕上げる度に「女って怖い!」と思い「化粧って、本当に化けるんだ」とゾッと実感しながらの作業。
でも可愛いんだ!!!自分の化けた姿を見て嬉しそうにしたり、はにかんだり・・・それを見るのが楽しくってイライラしながらも、きっと手伝うのだ。
そして、
こんだけ小学生の顔を使ってイッパイ練習を重ねてるんだから、そのうち、自分の化粧をする時も、スイスイ上手になるだろう。
練習もっともっとやらねば・・・次のメイク依頼が早く来ればいいが!
と、子供を実験台に思っている節のある、いつもながら悪魔がチョロチョロ顔を出すワタクシ。
村のお祭りで、こういう化粧を施した経験も。慣れない男性バージョンで、もみあげ入れ忘れ。ソーリィ
上のバリス舞踊の素顔。ティルタ・サリ楽団のルバブ奏者マドラ氏。
女性は誰?ってくらいに化けるが、男性は、なんとなく面影ある感じだ(?)
2011