新種のガムラン???

2010年4月12日、プリアタン村に於いて「ロンバ・デサ」が行われました。「ロンバ・デサ」はバリ島内で一番の村を決める競技会のようなもので、各県が代表を送り込みます。5年に1回開催されるこの競技会、前回はプリアタン村が優勝しました。今回もギアニャール県の代表として、プリアタン村の参加です。

この競技会前には、各バンジャールが地域の清掃を行い、審査団を受け入れるために集会場などの飾りつけを行い、大変忙しい時期を迎えます。その中でも、審査団の招待窓口として、特に盛大な飾り付けとイベントが行われるのが「アンチャック・サジ=プリ・アグン・プリアタン王宮」です。

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王宮では、審査団の歓迎式典が行われ、オープニングとしてプリアタンの子供たちによる歓迎の「ペンデット」舞踊が予定されました。また、婦人会代表によるコーラスも準備されましたが、通常のコーラスではなく、グンタ・ブアナ・サリ楽団 (Genta Bhuana Sari (gbs) )によるガムランとキーボードのコラボレーションとして特別に編曲された伴奏で唄います。婦人たちは唄うだけでなく、簡単な踊りも入れるという、芸能の村プリアタンらしい趣向でした。

この時のキーボード担当が、夫のkadek ferry ( f ) でした。婦人会からのキーボード演奏の依頼を受け、競技会の数週間前から合同練習に通う忙しい日々でした。普段はガムラン奏者で、コラボレーションの際にはキーボードで演奏やエフェクト操作をするfですが、以前から気にしていた「音はコラボレーションできても、古典のガムラン楽器群と機械であるキーボードが並ぶ姿は違和感がある」という悩みを、このたび解決しようと、疑似ガムラン作戦(?)を考えました。

その結果が、下の写真です。バリの雰囲気を壊さないデザインのガムラン・カバー付きスタンド(キーボード・ケース)の作成です。材料を揃えてfと私mで手作りしたので、かなり時間がかかったし、少々歪んだ箇所もありますが、自分たちで想像していたよりも素敵に仕上がりました。

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会の前日、雨の中でのリハーサルが行われ、この疑似ガムラン・スタンドはデビューしました。楽団の友人たちも、このアイディアは特に気に入ってくれたようです。

競技会当日、私mは朝6時には参加者控室に座っていました。歓迎の踊りを踊る子供たちの化粧と、着付けの手伝いのためです。私を含めて4人が化粧係でしたが、本当に大変でした。ペンデットは4~6人の踊り子によって踊られますが、今回は20人。普段のペンデットの衣装ではまかなえないので、臨時に考えられた創作衣装が用意されましたが、慣れない着付け法だったので、踊り子の会場入り予定の8時近くになっても着付けが終わらず、間に合うかと、冷や冷やしました。

会場到着後も、舞台裏でが「グンビアン・ラカ」先生の踊りの指導が行われ、プリアタンらしさを出すために、基本の型(アガム)を繰り返し繰り返し子供たちに取らせていました。
そんな我々の心配は不要だったようで、子供たちは、元気に自分たちの役目を終え、観客や審査団から大きな拍手をもらっていました。

ペンデットの後は、婦人会によるコーラスです。「プリアタン村へようこそ」「サンダットの花」「PKK婦人会マーチ」「家族計画の唄」と次々に唄い踊られました。fが演奏を間違えたらどうしよう!と観ていてドキドキと緊張しましたが、スムーズに進み、婦人会の美しい声が会場に響き、これまた大喝采を受けていました。

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昼近く、審査団は王宮から一旦外へ出て、各バンジャールへと移動して、村の様子を見て回ります。その後、再度王宮へ戻って昼食となり、グンタ・ブアナ・サリ楽団による演奏で「トペン・ニッコー」舞踊が行われる予定でしたが、ハプニングが起こりました。数グループに分かれて、バンジャールを廻っていた審査団が一部遅れて戻って来ません。急遽、間を持たせるようにキーボードとガムランでの演奏を要請されましたが、さすが音楽家集団です。知っている曲の中から、ガムランの音階とキーボードのドレミ音階で弾ける、ゆったりとしたテンポの心地いい曲を数曲、即興で演奏していました。

係の人が演奏を聞いて「仕事を放り出して昼寝したい」と言っていたのは、嬉しい褒め言葉だと思います。

審査団も、退屈せずに長い待ち時間を過ごし、全員揃ったところで「トペン・ニッコー」が踊られ、会の幕を下ろしました。

どうぞ、「ロンバ・デサ」で、プリアタン村が良い評価を受けますように!