そして、プリアタンのレゴンの祭典とも呼べる大きなこのイベント最終日。 この夜はアユ・ブラン・トリシュナ・ジェランティックと、ニ・マデ・スアルティニによるプリアタン形式を採り入れた舞踊作品「レゴン・ミンタラガ」が行われた。 このレゴン舞踊は、13世紀の詩人エンプ・カンワ(Empu Kanwa)によって書かれた、アルジュナ・ウィワハを元に創られた作品である。 影絵の世界では、瞑想中のアルジュナは「ブガワン・チプタニン」または、「ブガワン・ミンタラガ」という名で呼ばれている。ここから「レゴン・ミンタラガ」という名が付いた。 舞踊中では女神スプラバ(Dewi Supraba)の率いる天女達が集団で誘惑するが、アルジュナの精神集中は強く、瞑想の妨げにはならない。しかし、巨大なイノシシが降りて襲ってきた時に瞑想から覚めて戦う。 また、神がアルジュナを試すために送ったサトリアとも戦ったり、 アルジュナは、パスパティ(Pasupati)という武器を手に入れ、パンダワ兄弟を護ったりもする。 物語では、主にアルジュナを通して、良い指導者になるには、世俗的な事を捨てるという教えが語られている。 最終日に訪れた観客たちは、この舞踊に高い評価を与え、熱い拍手を送った。 この作品は、イブ・ブランによって、作曲中からグンタ・ブアナ・サリ楽団の起用が決められており、我々は練習を重ね、何度も編曲、修正が行われた。 Mengenang Sang Guru Genta Bhuana Sari & Bengkel Ayu Bulan (Bandung) - Legong Mintaraga ある日、アルジュナが瞑想に入る前のシーンを制作している時、イブ・ブランは楽団側に「コリン・マクフィーが創ったピアノ曲ノクターンの様な雰囲気にして欲しい」とリクエストを入れた。 そのピアノ曲を知る者は居なかったが、イブ・ブランの「ゆっくりとしたイメージで、ちょうどこういう風に・・・」という舞踊の雰囲気が伝えられ、このパートが作られた。 後日、このピアノ曲を聞く機会に恵まれたが、実際に、雰囲気がピッタリの物であり、驚いたのを覚えている。 若い世代の音楽家集団として、マエストロの作品の創作に関わる事ができたのは、非常に貴重な経験であった。また、この大作を無事に舞台で披露できたことも、誇りに思っている。 私自信の熱い希望として(恐らく私の友人たちである楽団のメンバーも同様に)、これからもマエストロたちと、若い世代の芸能家が、強く結ばれるような機会を持ち続けたいと思う。 そして「サン・グル」達の功績が産んだ芸術が次の世代に伝えられ、バリ芸能がこれからも世界を揺るがしますように! “Peliatan menggetarkan dunia~ムングナン・サン・グル書籍より” +++++ 著者 : kadek ferry © f-studio 写真提供 : Doc. Mengenang Sang Guru 2007