ドン・ダプダプエ舞踊 @ プリアタン村フェスティバル

Don Dapdape
Tari Don Dapdape

「ドン・ダプダプエ」というのは、バリの人々にはよく親しまれた歌謡曲ジャンゲルの中のひとつです。この曲にあわせた新しい舞踊を創作して、2011年8月7日から17日まで開催されたプリアタン・フェスティヴァルで発表しました。プリアタン村のバンジャール・カラー地区が上演したフィルム&パロディ「ロロ・ジョングラン伝説」の最初のシーンで、御客様のためのウェルカム・ダンスとして子供たちによって踊られました。

舞踊 Don Dap dape 初披露シーン

  • 舞踊名:ドン・ダプダプエ
  • 踊り子:バンジャール・カラー子供会 Tunas MARAGAWI (ウブド・プリアタン村)
  • 舞踊創作:マユミ・イノウエ mayumi inouye ( m )
  • ヴォーカル:マレタ・デウィ mareta dewi
  • 演奏&音楽アレンジ:カデ・フェリ kadek ferry ( f )

ドン・ダプダプエ Don Dapdape (作者不詳)

Don dapdape, don dapdape lumlum gading
Don dapdape, don dapdape lumlum gading
Panak, panak biyu, panak biyu di Kedaton

Tityang nembe, tityang nembe tuwun megending
Tityang nembe, tityang nembe tuwun megending
Anak, anak liu, anak liu rauh manonton
Ngiring mangkin, ngiring mangkin masukarena
Ampura ugi para semeton sareng sami

Jangi janger arasijang jangi janger

童謡ドン・ダプダプエは、バリ人歌手のプシュパ・デウィ(Puspa Dewi)によって、CD化もされています。このCDで使われているバージョンをもとに f がキーボードを使って演奏、バンジャールの歌の上手な子に歌ってもらい、それに合わせて、子供たちが踊ることを思いつきました。そして、劇の上演内容にあわせて、あまり派手でない、シンプルな歓迎の舞踊を創作することになりました。

今回プリアタン・フェスティバルは村内のバンジャール(隣組)対抗の芸能公演ということで、作品はバンジャールの住民によって構成されていないといけない、という話でした。ここバンジャール・カラーの現役の踊り子は中学生以上しか思いつかないのですが、皆、作品中では別の踊りを踊ることになっているため、お願いできません。そこで小学校生に声をかけたところ、5・6年生の8人の女の子が集まってくれました。この中のたった1人が踊りの舞台にたったことがあるそうですが、他の子供は、みな、小学校の踊りの授業で衣装を着たことがあるだけ、あるいは、村のオダラン(お祭り)で、集団の奉納舞踊であるルジャン舞踊を踊った事があるだけ。という普通の少女たちです。

そこで、私は、踊れない子供でもついていけるように、ルジャン舞踊に含まれている動きをメインにして舞踊を考えました。しかし、心配するほど子供たちにとって振り付けは難しくなかったのか、教えられたことをどんどん吸収し、最終的には、みな、上手に扇子を回して踊るところまでいきました。

(バリにはバリ時間というのがあって、練習は4時に集合というと通常は5時過ぎに顔を出しますが、子供たちは3時半にはやってきて、自主練習していました!)

新しい舞踊は、振り付けや音楽のみでなく、衣装も考えなければいけません。今回バンジャールが用意したフィルム&パロディというのが、今までに無い形態のものだったので、歓迎の舞踊でも、いままでにない新しい事をやらないと!と話していたので、花を撒く時に持つスンピヨール(サンピアン・ボコール)を、円周は小さめだけれど、垂らす葉の長さが通常の3倍。という目立つ物にしました。

衣装は「白」と最初から頭に浮かんできたので簡単でした。ただ、扇子(キパス)の扱いを心配していたので、本物の踊り用の硬い扇子でなく、子供たちの手の大きさに合う御土産用のキパス・ジュパンという軽くてしなる扇子を用意し、金色に塗って衣装に合うようにしました。

ジャワの物語がフィルムとパロディ劇で上演されるので、それを意識して、ヘアスタイルもジャワ舞踊を意識したサングル(髪型)に。ジャワ舞踊でよく使われるジャスミンの花の鎖はバリ島では難しいので、以前私がバトゥアン村で見たことがあるマンブッド氏の作った舞踊衣装のプルメリアの花の頭飾りを思い出して、似せて代用しました。うまくジャワとバリが融合した感じになり、好評でした。

全体的に 白+金+薄黄緑 のカラーです。歌詞の「don dapdape lumlum gading=黄色くなったダプダプの葉」のイメージに多少なりとも近づけたでしょうか・・・

ただ、独立記念日の8月17日が近い事もあり、インドネシア国旗の紅白をも意識して、撒く花は「赤」のみに統一。衣装の白に映えるようにしてみました。通常は多色使いの花が好まれますが、少しチャレンジ。結果的にはきれいでした。

Don Dapdape
Tari Don Dapdape

こうして、踊りを教えながら、衣装や髪型をいろいろと思案して準備したのですが、 f はフィルム全体の音楽と音響も創作せねばならず、毎晩深夜まで楽器の前に座り、私も劇内で踊る婦人会の「米搗き」舞踊の練習に通うなど、ハードな2週間が過ぎて行きました。

公演当日の8月14日、踊り子達には、着付けの手伝いに、お母さんを連れて来てね。と伝えてあったのですが、ありがたい事に、子供たちのお母さんだけでなく、お婆ちゃん、さらには近所の人たちまでが、こぞって御手伝いに来てくれました。顔のメイクアップだけは私が担当しましたが、それ以外は、全てバンジャールの人の手です。髪型を作ってくれる近所の器用なおばさん、衣装を着せてくれるお母さんやお姉ちゃん、御婆ちゃん達は花撒きにつかうヤシの葉の飾りスンピヨールをドンドン作ってくれます。子供たちも、頭に使うプルメリアの花飾りを見よう見まねで作ってくれました。

この「フィルム&パロディ劇」、ザッと数えるだけで50人以上(フィルムの出演者を含めると、もっとたくさん)、小学生から老人まで、TVにも出てるバンジャール出身の芸能人、有名なジョゲのお婆ちゃんまで、バンジャールの人が踊りと劇で当日の舞台に立ちました。日曜の夜の公演にも関わらず、観客の入りは1番良かったそうです。大成功。

頑張って踊りを覚えた Ajeng, Ade, MangSri, Bila, PutuMika, Dik Luh, PutuWandana, DekSri 御苦労さま。バンジャールのみなさん、お疲れさまでした。そして、楽しい経験をさせてくれて、ありがとうございました。

舞踊「ドン・ダプダプエ」は、とてもシンプルな動きで、幼稚園生や小学生が踊るのには簡単な舞踊になっています。踊りの練習中には見学しにくる踊り子たちの友達が、よく一緒になって「ドン・ダ~プダ~ペ~~」と声を張り上げて唄っていました。大人も子供も知っている親しみやすい曲ですし、この舞台だけで終わらずに、どこか他の場所でも踊ってもらったりする機会があると良いな・・・と思っています。

Matur Suksma!